「理事長のひとこと」最近の記事

理事長直筆のコラムです。

 毎年、指揮者あわせは大変重要な日です。この日は必ず参加するように説明会のときから念を押され、しかも近づけば録音機を誤って再生しないようにとかメモ用の鉛筆は4Bのような柔らかいものがいいとか細かい注意があります。前日までに齋藤先生からは、ここまで練習したから後は指揮者がどう指導するか待ちましょうという話があります。だから緊張はかなり高まります。私たちも緊張するのですが、齋藤先生も緊張されているようです。たぶん、試験を受ける教え子の様子を横で見守る教師の心境ではないでしょうか。

 しかし、長く在団している団員にとっては緊張感よりもむしろわくわくする感じのほうが強いはずです。当日はまさに出会いです。ほとんどの団員にとっては初対面のマエストロが軽やかに登場します。本当に皆さん颯爽と現れます。人間としての魅力の表れでしょうか。アクセント、強弱、音の長さの問題など細部にわたって指導をいただきます。表現の持つ意味についても指導があります。まさに目からうろこが落ちる感じです。

 皆さんそれぞれの解釈を示されます。指導の中で、初めて聴く表現にも出会います。「息の量はたくさんで、音量は半分に」は黒岩さんの言葉でしたが、味のある表現と思いました。このように毎年のマエストロとの出会い、奥深い造詣に触れることがなんとも言えないフロイデの楽しみです。今年は6年ぶりの飯守さんの指揮、温和な口調で曲の時代背景を丁寧にお話いただいたことを思い出します。不遜かもしれませんがどんなに進化されているのかも楽しみです。

※3月19日の「理事長のひとこと」で、今年の浜松混声合唱団の演奏会を誤って6月23日と書きました。正しくは6月26日(土曜日)です。
                                      (ひろの てるみ)

 フロイデ合唱団の団員募集のチラシには「プロの合唱指導者が毎週東京からきて丁寧に、時にはユーモアを交えて楽しく指導します」と書いてあります。フロイデ合唱団の楽しみの一つは齋藤先生が指導してくださることです。長年継続して参加しているリピーターには、、続けている理由の第一は齋藤先生の魅力という人もたくさんいます。
 
 齋藤令先生は1990年から浜松フロイデ合唱団を指導されています。
 先生は何よりも情熱を持ったタフな人、2時間強の練習はもちろん立ったままで、休憩時間には汗になったシャツを変えるほどの奮闘ぶりです。埼玉県の所沢から通われるのも大変なことです。団員が家でお風呂につかったりしながら、ほっとしているとき先生は新幹線の車中か自家用車を運転中なのですから。
 
 指導は毎年異なった進め方で、今年はどんな展開になるだろうか楽しみです。どこの部分から始めるか、それぞれの部分にかける時間はどうするか、曲と私たちの力を熟知している先生は、どこからどのように食べさせようかと考える調理人のように自由自在にたくみに進めていきます。丁寧な音取指導は以前から同じですが、最近は曲と合唱の全体を把握させることに工夫されているように思います。私たちは部分から全体へ、全体の理解から部分の丁寧な演奏へと高まっていきます。
 
 チラシにあるユーモアはたとえの面白さです。ここでは紹介を省きますから実際に聞いてください。新人は大変緊張するものですが、それとなく励ましてくれます。私自身「いい歌い手になりましたね」という一言が長い間支えになっていました。
 5月9日の13時から浜松科学館で合唱体験レッスンがあります。まずは実際の指導に触れてみてください。先生はまたプロ合唱団に所属する優れたバリトンシンガーです。今夏6月23日の浜松混声合唱団の演奏会にはソロで歌ってくださいます。これまた楽しみにご来場を。
                                        (ひろの てるみ)

 フロイデの団員はどういう動機で入団しているのでしょうか。
 団員募集を何で知ったかという調査結果はありますが、動機についてははっきりしたデータは、残念なことに私のところにはありません。
 一度でいいから第九を歌いたいとか、ステージに立ちたいとか、少し時間的にゆとりのある年齢になったからとかいろいろな理由があるでしょう。
 ここでは入る前には分からないフロイデの魅力について紹介しましょう。
 
 フロイデ合唱団は歌う熱意があれば誰でも入団できます。合唱歴は問題にしていません。自己紹介の機会はありますが、細かな個人情報については本人が公表しないかぎり、何歳なのか、どんな仕事に就いているか、または就いていたかなどまったく分かりません。ましてそれ以上の家庭環境など知る由もありません。
 「いったい、何者ぞ」という感じです。同じ職場の同期会風な微温的な雰囲気はありません。肩書きはパートの班と係名だけです。
 
 新入団員にとっては練習も人間関係も手探りで始まりますが、何年かの経験がある団員も毎年新しい人間関係を築いていくことになります。コンサートが終わる頃には離れがたい気持ちの仲間になります。
 歌を歌うことが中心ですから、誰もがあるレベルまで到達する練習があります。まったく合唱経験のない人も一歩一歩階段を登るような指導態勢があります。通常の練習以外に合宿や日曜練習もあり、パートリーダーのリードするパート練習などの積み重ねによって高みにまで上っていくことが出来ます。練習以外に何回かの交流の機会もあります。アドヴァイスをしてくれる人は自然にできるものですし、目標とする人もいるものです。気持ちの合う人も発見します。

 練習、宣伝、ステージ、学習、ニュースなどの係り活動にも組織的に取り組んでいて、ここでもそれぞれの力が発揮できる場面があります。ポスターのデザイン、ニュースの編集などなかなかのスペシャリストが居て驚きます。これも出来るところで協力している間に親しい関係が出来上がっていきます。「歌を仲立ちにして、新しい人間関係を作る」私たちの合唱団の優れた魅力と言ってもいいでしょう。

 新しい環境に飛び込むと自分の中の新しい自分に気が付きます。
 自分こそ「そも何者」と思う、新しい自分発見の楽しみがフロイデ合唱団にはあふれているとも言えます。
                                            (ひろの てるみ)

 「本物は続く。続けると本物になる」という言葉があります。前半よりもむしろ後半の表現に納得させるものがあります。私たちの浜松フロイデ合唱団も長く続き、本物になってきたと言えるでしょう。2009年の第九演奏会も2008年に引き続き成功しました。団員数165人、チケット発券数は2281枚になりました。演奏内容についても前回以上の高い評価をいただきました。
 思えば連続29年間の演奏会を開催し、ざっと延5万人の聴衆、延4000人の団員数になりますから、浜松冬の音楽行事として浜松市だけでなく近隣の地域で確固たる地位を築いたと自信を持っていえると思います。市民参加による手作りの文化活動を目指してきましたが、音楽に親しむ層を着実に増やしていることも確かです。
 その長い歴史とともに歩んで居る団員が数多く居ることも力強いことです。演奏会当日の表彰式で2名の25年連続者を表彰しました。4半世紀という長い期間を歌ってきた努力に頭が下がります。
 経験の長い団員は長年の経験を生かし、綿密な計画を立てて実行していますが、経験の少ない団員も積極的に意見を出し、いっそうこまやかな運営が出来ました。若い団員が増えたのも嬉しいことです。
 先日の総会を経て、新しい理事会と運営委員会が発足しました。理事長は中村吉雄さんから廣野光美へ、団長は岡部優子さんから平野雅三さんへバトンタッチされ新年度の活動が始まりました。中村理事長、岡部団長をはじめとする退任する役員の献身的な努力に感謝します。
 今年もいくつかの課題があります。第九の演奏会場の確保だけでなく、鴨江別館が3月いっぱいで使えなくなるため、便利な練習会場を探さなければなりません。よい演奏会が今後も出来るよう、長期の展望を持って努力していきます。       (ひろの てるみ)

 去年も今年限り、今年もことし限りと思っての参加、来年もことし限りと言っているかも知れません/自分でも驚くほど最後まで冷静に歌うことができました。友人のありがとうの一言を聞き、涙が出てしまいました/演奏会が終わった直後から喝采メールが殺到しました/2年目、やっぱり一杯いっぱいでした。楽しめるまでには何年かかるのでしょう/妊娠7カ月で、赤ちゃんのお気に入りは男声合唱の部分です/皆出席賞が3枚になりました。家族の協力があってこそです。
 長い間忘れていた感動、感激、充実感が体中に漲りました。フロイデの伝統や底力をさまざまな場面で感じています/3月に貴女に会ったとき、私たちはことしも一緒にと約束しました。しかし、美しい花吹雪の写真が貴女からの最後の便りとなりました。貴女は星空の彼方から舞い降りて、私たちは約束通り一緒に歌いました/新人の方はわくわくどきどき、長い1日を経験されることでしょう。経験者にとっても本番は緊張と喜びの瞬間ですね。いままでの練習の成果を心置きなく出し切ってください。遠くハンブルクよりコンサートの成功を祈っております(合唱団ピアニスト)。             (2009年、合唱団員の感想文集から)

 このコラムは2007年2月19日からの3年間、毎月3回の更新をしてきました。合唱団の活動を知っていただきたい思いで書いてきましたが、この107回目更新で新理事長にバトンタッチいたします。これまでのお付き合い、ありがとうございました。                                                                          
                                            

 アンサンブルはフランス語で「合奏」と訳されます。音楽家が最も気をつけているのは相手の音を聴くことです。耳で聴くだけではなく目も使い、呼吸を感じ取るのも必要になります。日常生活の場面でも相手の話を聞く、心を読み取る、自分の意見を持つ、気持を伝えることがアンサンブルでしょう。仲間と一つのものを作るのに必要な協調性が素晴らしいハーモニーを生み出す力になります。
 会議や学習会などでの私語にはアンサンブル精神がありません。テレビを見ながら画面に向って話している人や講師の話にいちいち相槌を打ち、ヒソヒソの独り言などは病院の待合室や講演会などで目にする光景です。いびき抜きの居眠りにはまだ、救いがあるのかも知れません。会議はみんなでつくり上げるもの、特定の人が話し続けたり、強い意見で押し切るのではなく対話を重ねることが活性化になります。

 合唱団は仲良しグループではありませんから気の合う人ばかりと限りません。意見の対立は常に生まれますが、その先にこそ団結が生まれます。気に入る人とは自分の考え方の邪魔にならない人のことで意に沿わない人を周りから避けていけば最後に残るのは自分ひとりだけになってしまいます。社会生活の上でアンサンブル精神を貫くことは容易ではありませんが音楽を通してその心地よさを実感できる筈です。
 中学生の新聞投稿がありました。「大ホールで第九を聴きました。歓びの歌にはつらいことがあってもがんばって生きていれば必ずいいこと、楽しいことがあるから、どんなことがあってもがんばって生きようという思いが込められています」。

 クラシック音楽のコンサートは演奏する側だけではなく聴き手にも集中力が求められます。2時間近い間、じっと聴き続けるのは慣れていないと大変なことです。開演時間の遅れは5分がギリギリで、それ以上になると聴き手の集中力はブチ切れ状態になります。演奏中のガサゴソやひそひそ会話などは論外ですが、これを完全に防止するのは難しいことです。一方、演奏が終わるや否や間髪を入れず、いの一番に拍手をしたがるお客もいますが指揮棒が完全に下りるまでが曲で、しかもまだ音が残っています。また、演奏の出来に関係なく出演者の知り合いが客席からブラボーと叫ぶことがありますがフライングさえしなければ演奏会の締めとしてはいいものかも知れません。
 「母と子のためのコンサート」、「ファミリーコンサート」など気軽にクラシック音楽を楽しむための企画もありますが子どもより親のマナーが悪いのが問題になったりします。

 昨年の第九演奏会で聴衆のマナーについて苦情をいただきました。市民の文化の民度を高めるしか解決する手段が見当たりません。会員制のクラシック音楽を鑑賞する演奏会でも楽章間に拍手があったり、音が消えていないタイミングでの拍手など相変わらずです。ホール内はその場にいる聴き手の共有の空間であることを意識しなければなりません。
 20年前、全国労音・第九合唱団のベルリン演奏会では最後の音が消えて直ぐには拍手がきませんでした.。数秒経ってから聴衆が立ち上がり、そこから長い拍手でした。
 音楽に限らず良質なものには余韻や空白にもつくり手の想いが込められていますから味わってみたいところです。

 音楽があるかぎり人は幸せになれます/管楽器をやっていますが改めて声の力の凄さを知りました/若々しい曲想、早めのテンポ、独語の発音など新しい雰囲気が楽しめました/今年2回目、心に残る出会いの場となりました。昨年は3階席、今回は1階席、いろんな席から体感してみたくなりました/子どもが10歳になり、やっと一緒に聴くことができました/毎年演奏会を聴くことを自分に対する褒美だと思っています/岩村さんの、けれん味のない堂々とした指揮に感動しました/Alle Menschenの3回目は岩村先生の圧巻でした。「そんなものではないだろう、もっと出るだろう」という意志が指揮棒からほとばしり出ました/第九の導入部、緊張感がよかった/マエストロは音の立ち上がりを重視する。バリトンのソロに合唱が前のめりにおっかぶさる、一瞬早いだけで音楽が実に生きいきしてくる。

 すぐ前の席が私語が多く演奏に集中出来ませんでした。この時にしか聴けないのに本当に残念でなりません、こんなにマナーの悪い観客がいたのは初めてでした/男声合唱は響いてよかった、ソプラノの高音をもう少し出していただきたかった/聴衆の拍手が早く鳴り出し余韻が楽しめずに残念でした。

 以下は中学生のみなさんからの感想です。
 迫力があり表現が豊かでいろいろな音が溶け合って至福の空間でした/私にはあんなきれいで、高い声がでません/時間がたつのがとても早く感じた、この楽しい音楽に終わりが来ないでほしいと思いました/音楽の時間で勉強したり吹奏楽部でジャズ版を演奏したけど本物(ナマ)はすごかった/ピアノを習っているけど弦楽器も弾いてみたくなりました/こんな機会を与えてくれて感謝しています。

 2009年の浜松フロイデ合唱団の第九演奏会は2000人を超えるお客様を迎えて、心に響く演奏を届けることが出来たのではと思います。演奏会の成功をみなさんと確認したいと思います。
 本日の演奏会に大きな力を与えてくださった岩村先生、ソリストのみなさん、オーケストラのみなさんに心より感謝申し上げます。岩村先生とは初めての出会いでした。合唱団に対する温かいご指導と共に音楽に向き合う情熱を教えていただきました。
 齊藤先生、ピアニストの落合先生、大平先生には半年間、ありがとうございました。2009年、今年の「第九」は齊藤先生の情熱と岩村先生の情熱が合唱団に舞い降りて「神々の火花」となりました。

 NPO法人・浜松フロイデ合唱団では演奏会に中学生の無料鑑賞事業を続けています。また10歳以上の小学生からは半額割引を行っています。
 これらの世代は20年、30年後にはフロイデ合唱団の中心になる世代です。その時の合唱団は今より何倍ものエネルギーを備えていることでしょう。それを見届けることができるのはみなさんの中で何人いますか分かりません、そのことは問題ではありません。いま、私たちが挑戦していることは彼らに襷(たすき)を繫ぐ(つなぐ)ランナーの一人としての歓びであり、誇りであります。

 今年も数名の団員が出演を断念されました。本人の体調であったり、予期せぬ事態の発生によるものです。そして合唱団のまわりには歌いたいけれども歌うことが叶わない人たちもいます。私たちは「ことし歌えた、ことしも歌えた」という幸運に感謝しましょう。
 演奏会の成功おめでとうございます、ありがとうございました。
                           (2009、12、12 打上げパーテイの挨拶から)

 今年の男性はテノール24人、バス32人の56人です。市民合唱団で男性がこれだけ揃うのは貴重なことだといわれます。ソプラノ49人、アルト60人が加わって総勢165人の陣容で、男性の割合が30%になっています。全体の年齢構成は20代から70代までとなっていますが高齢化は避けられません。演奏会に男性の助っ人(エキストラ団員)を起用せずに開催しているのも希少価値かも知れません。

 合唱団には表彰規定があり演奏会終了後の打上げパーテイで紹介されます。
 チケットを頑張った「奨励賞」は経験者で20枚以上、新入団者で10枚以上が対象です。練習の全てを休まず、遅れずに出席した団員。団活動の取組みに積極的に参加した団員。浜松フロイデ合唱団に連続して参加した団員、今年は5年連続が8人、10年が4人、15年が1人、25年が2人となっています。表彰を受ける団員は今年84人になります。

 ことしも新しい出会いがたくさんありました。練習に活動に誠実に向き合うみなさんがいました。合唱団は一人ひとりの自覚に依拠して運営されています。残念なことは体調が回復しなかったり、特別な事情が発生したりで毎年3人前後が出演を断念することになってしまいます。
 入団の動機は人それぞれですが「やる気と情熱」には個人差があり、まわりをハラハラさせることもあります。練習出席率の低い団員には個別に事情を聞いて対応し、全員が演奏会のステージに立つことを前提に話します。一人ひとりの個性、環境の違いを認めつつ、演奏会を成功させるという一致点を確認していきます。

2012年「第九」演奏会
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