00_イッセルシュテットS第5回 イッセルシュテット

【指揮者】ハンス・シュミット=イッセルシュテット
【管弦楽】ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
【ソプラノ】ジョーン・サザーランド
【メゾソプラノ】マリリン・ホーン
【テノール】ジェイムズ・キング
【バリトン】マルッティ・タルヴェラ
【合唱】ウィーン国立歌劇場合唱団
【録音年月】1965年12月
【録音状態】中
【レーベル】ユニバーサル・ミュージック クラシック
【コメント】
イッセルシュテットは20世紀後半に活躍したドイツ人指揮者。父方の姓はシュミット、イッセルシュテットは母方の姓で、ファミリーネームを正確に言うと「シュミット=イッセルシュテット」となるそうである。
演奏は、全曲を通じて実に堂々としたもので、奇をてらうことなく、それでいて陳腐にならない気品を感じさせる。
テンポの揺れや強弱による表現は必要最小限にとどめ、決して情緒的にならないのにそれがかえって全体的には説得力となっているところにこの指揮者の芸術的なセンスが感じられる。
何といっても独唱陣の充実ぶりがすばらしい。また、合唱も美しい音色で明確に聴き取れる。これは、合唱が入る部分ではオケの音をやや絞った編集処理のせいかもしれないが、いずれにしても全体として非常にバランスのとれた、この時期の演奏にしては聞きやすい録音に仕上がっている。
ホルンや男声合唱は「幻想的」や「敬虔」というイメージではなく、かといって「荒々しい」というものでもなく、「英雄的」なものを目指しているような響きが感じられる。また、Alla marciaや終曲のPrestissimoで登場するバスドラムの音色が深く味わいのあるもので、一聴に値する。
第九演奏のひとつの規範として、もっと高く評価されてもよいCDだと思うのだが、現在は他の有名盤の陰に隠れているような存在である。上述のような奇をてらわない演奏内容が「インパクトがない」として敬遠されるのかも知れないが、名演奏であることは間違いない。

次回は、また時代をぐっとさかのぼり、第二次大戦前のヨーロッパで活躍したオランダ人大指揮者 メンゲルベルクによる個性あふれる演奏を紹介しよう。

(ドクトルじんじん)