大切な人

 この1年、かけがえのない人との別れを経験した団員がいます。親であったり、配偶者であったり、親友であったり、お孫さんであったり、誰にとっても大切な人がいて、そして必ず別れの時を迎えることは覚悟していますが「なぜ今なの」という思いは残ってしまいます。

 演奏会のステージに立った時、客席を見まわしては発見することのない「大切な人」を捜すことでしょう。いつも支え、励まし、慰め、叱ってくれた人のことを想い、そして今年もこの場所に立っていることへの感謝です。
 客席で奥様の遺影と一緒に演奏を聴いた人がいました。毎年、「第九」を聴くことを楽しみにしていた彼女をご主人がホールまで案内してくれたことを知りました。「恩師ご夫妻と一緒に聴いた演奏会は忘れられない思い出となりました」、「いつも一緒に聴いていた友人は闘病中、元気になってこのホールに戻って来れますように」。その年ごとに、人それぞれに特別な意味の演奏会を持っていることが分かります。
 ことし歌える、聴けることはいくつもの幸運があって実現することです。当たり前は奇跡のつみ重ねでつくられています。

 音楽には人をリラックスさせ、活力を引き出す不思議な力があり、そうした効果は医療や福祉の現場で積極的に活用されています。誰もがプレッシャーとストレスの中で日常を送っています、それが前向きに生きている人の証しでもあります。
 年一度の演奏会はステージと客席、それまで様々な違った時間を通ってきた人たちが一つの空気を共有することになります。みなさんにとって大切な時間となることを願っています。

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このページは、なかむら・よしおが2009年10月19日 06:00に書いた記事です。

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